Friday, July 31, 2020

らーは、いつも私を見守った



わたしが写真撮影に熱中していたころ、らーはわたしがカメラを構えると神妙な顔をして静かに見守ってくれた。

夕方のドライブ、夕日を追いかけてビーチに行くと日没まで撮影に夢中になる。

仕事から戻って、冷蔵庫に保管している薄めたカツオ出汁と、手作りのパンやクッキー、バナナなどのオヤツをもって、らーと車に乗って出発する。 

スープとクッキーだけじゃお腹もすいているだろうに、らーは私が撮影を終えるまで決して邪魔をしなかった。

時々、一人で海水浴をすることもあったし、いつの間にか友達になった人間とおしゃべりをしているときもあった。


草を分けて1メートル足らずの幅の道、両側が海、そんなところも一緒についてきてくれた。

そして、静かに伏せて待っていてくれた。もう少し、もう少し、そうやって長引く撮影にも文句をいわず、見守ってくれていた。 



犬の知能・知力が人間の3歳児程度とか、5歳児とか、いろんなことを人間は言うけれど、観察力、状況判断力、辛抱強さや思いやりとか、人間の年齢に換算するなんて無理があるのだと思う。

らーと暮らしていると、自分の身勝手、相手を観察する力の浅さ、落ち着きのなさ、比べて犬の大きさ、深さ、賢さ、あらゆる面で、私が足りてないことを知った。

同時に、それでもわたしの人生が満ち足りているということ、だからこのままで充分なんだということも思い知ることばかりだった。

June 2011
いつの間にか美女と話し込んでいる
白い服の彼女と、真っ黒犬らー
露出補正どうしたらよいのだ?


July 2011
らーのシルエットが美しい

Thursday, July 30, 2020

留守番とカミナリ

夏の沖縄は雷雨が多い、らーは雷が怖かったからお留守番のとき、怖い思いしてたよね。ま、母ちゃんがいたってさ、雷が怖いのは同じなんだけど、母ちゃんがいるほうが気もまぎれて良かったはずだよね。

Tuesday, July 28, 2020

らーが人間の言葉を覚えるとき

らーは、仔犬の頃から人の表情や行動をよく観察する犬だった。

犬が人間の言葉を覚える仕組みは、犬のしつけの本にも書かれているので、みんな知っていると思うけれど、シンプルに言うと、犬が ”座る” という行動をするとき、「スワレ」と言う。 犬が座るという行動をすることと、人間が言う「スワレ」という言葉が結びつくようにするというもの。

Tuesday, July 21, 2020

目標は穏やな死

介護中に、動物病院へ一人で行くことが多かった。
らーの通院には人手が必要なことと、らーにも負担をかけたくなかったので、お薬や会計を待つのをやめて一旦家に帰り、その後改めて病院に行くようにしていた。

病院の待合室の半分が、介護中の人になることも多かった。犬も猫も長生きになり、介護期間も長くなる傾向があるのだと思う。

「介護疲れで孤独だ」という女性に出会った。「誰にも言えないけれど、正直もう死を願っている」と淡々と抑揚のない声で話してくれた。

Monday, July 20, 2020

安楽死について真剣に考えたこと

らーが倒れてから、たびたび起こった排尿障害、ひどいときは48時間もオシッコが出ない、お腹はバスケットボールのようにパンパンに膨らんだ。

圧迫導尿が効かない、家庭でのカテーテル導尿がうまくできない、そういう状態が頻発し、らーが一点を見つめて悲しい咆哮をあげるとき、わたしは安楽死を考えた。

Sunday, July 19, 2020

家庭での医療行為(点滴スランプ)

失敗談も残しておきたい。
何度もやった、一番つらかった失敗は、点滴。
らーの背中は大きくて点滴スポットもたくさんあるのに、成功体験をたどりたいのが素人というものなのでしょう。わたしだけか。

似たような、いや、ほとんど同じ、もしかしたら奇跡的に、全く同じスポットに針を刺したかもしれない。
針を抜いたあとの、流血が回を重ねるごとに、増えてきた。
そして、1リットルの輸液が入って、ラクダのこぶのように膨らんだ背中から、せっかく流し込んだ輸液がボトボト、あふれる日も多くなった。

Friday, July 17, 2020

家庭での医療行為(躊躇していられない)

らーが介護生活になるまで、わたしが注射をするなんて考えたこともなかった。
でも、実際問題、体重60キロもある歩けない犬を毎日注射のために、通院するというのは不可能だった。
私一人で車に乗せることができない、健康で体力のある大人の助けなしには通院さえ不可能なのだから自分で注射を打つ、点滴をする、尿道にカテーテルを通す、それくらいできなければ、らーを守ることはできない。

Thursday, July 16, 2020

らーが肉腫を吐いた (注意:肉腫の写真あり)

らーは、倒れてから死ぬまでに、何度か肉腫を吐いた。
ほとんど小さな肉腫で、血の塊のようなサイズだったけれど、2度ほど大きなサイズの肉腫を吐いたことがある。

大きいとは言っても、1度目は、50円のサイズ、吐いたものを清潔なラップに包んで、プチプチの梱包材に包んでそれを保冷剤で挟み、更にプラスチックバックに入れて冷蔵庫に保管し、翌日、病院から病理検査に出してもらった。
結果は、悪性メラノーマ。最悪だ、黒い毛のオスの犬に多く見られるなんて言われるようだけど、本当だった。

Wednesday, July 15, 2020

らー回復傾向に!


排尿障害、膀胱炎、水分摂取不足、腎機能の低下などは一進一退で問題が深刻になることはたびたびあった。

でも、悲しいばかりではない、らーの麻痺した後脚はもう元には戻らないけれど、それでも上半身を起こして寝返りはできるようになった。

Tuesday, July 14, 2020

便利な介護道具(いろいろ)

スライドシート

らーサイズの犬になると体重は人間より重い。

シーツ交換のとき、マットの上でちょっとあっちへ寄ってもらうにも、大仕事。
でもスライドシート(スライディングシート)を使うと、とっても楽になった。 

身体の下にシートを滑り込ませて、らーの体を少し押せばマットの上で簡単に移動させることができた。

Monday, July 13, 2020

オステオパシーが効いた

整体・オステオパシーのKomeさんと巡り合えたのは奇跡だった。

シッターさんを募集した同僚のFacebookの広告への反応でこういうのがあった。
「仕事をしているので、シッターはできないのですが、、、」
「可哀想でとても見ていられません」
「写真のワンちゃんのことが忘れられません」
「何かできることがあるかもしれません」

正直、シッターへの応募でないならば、会う時間がもったいないとも思ったのだけど、不思議と心に反して、私は、”会いに来てほしい”と返事をしていた。

Sunday, July 12, 2020

未遂に終わった仔猫泥棒

らーがどうして仔猫に執着したのかわたしには不明なのだが、母性というものなのか、、、。


とにかく、らーは仔猫には非常に興味を示した。
動物病院の待合室、床にぺたりと伏せて、仔猫が入ったケージへジリジリと匍匐(ほふく)前進する。

やめるように注意をしても、聞く耳を持たない、仕方なく待合室を出てお外で待つことになる。それでもガラス越しに仔猫の飼い主に、「仔猫を見せていただけないでしょうか」と懇願しているような表情で訴え続けるので、診察待ちの人々に笑われてばかりだった。

Saturday, July 11, 2020

便利な介護道具(動物用担架)

介護生活は、いつまで続くかわからない。正直なところ、お金が底をつくのではないか?そういう不安も日を追うごとに増してくる。

少しでも節約したい気持ちは切実だ、でも道具を揃えることで介護がラクになるとしたら、揃える方がいい。

Thursday, July 9, 2020

頻発する命の危機、排尿障害

シッターさんも見つかった。なんとか職場に復帰して生活を立てなおし始めた。
ほんの少し、日常を取り戻した。
だけど、問題が度々起こる。もっとも苦しんだ問題は排尿障害。 

膀胱を伸縮さる筋が急激に衰えて、自力でオシッコが出せなくなった。 
お腹がバスケットボールのようにパンパンになっても、オシッコが出せない。


オシッコが出ない=>膀胱炎=>急激な腎臓ダメージ=>命の危機

Wednesday, July 8, 2020

らーの趣味、バードウォッチング

らーはバードウォッチングが好きだった。

公園に行くと、スズメやヒヨドリがいる。
早朝のお散歩では電線のハトがいる。

わたしは写真に没頭していたころ、常にNIKONのD90に18-200mmレンズをつけて持ち歩いていた。
公園で真面目な顔で鳥を眺めているらーの横で、カシャっとシャター音を立てると、わずかに視線をわたしの方へ向けて、呆れた顔をする。

Tuesday, July 7, 2020

介護生活・現実問題お金はいくら使ったか

一体どれくらいお金を使ったのか「無い袖は振れない」だから、私が払える分しか払っていない。

それは明確なんだが、らーの旅立ちから今日(計算した日2020.6.28)で495日目だ、後になればなるほど不確かになるお金の話。

Monday, July 6, 2020

シッターさん初日のこと

急募にも関わらず2組(夫婦1組+1名)計3名のシッターさんが来てくれることになり、職場復帰できた初日のこと、帰宅する1時間前には予定通り、シッターさんは、らーの無事をLineで知らせて、引き上げていた。

帰宅して、らーの様子をゆっくりと観察してみた。 
様子は落ち着いている、シッターさんとはうまく過ごせたのだろう。
だけど、わたしは初日にも関わらず、シッターさんをお断りすることにした。

Sunday, July 5, 2020

犬の包容力(らーは病人に付き合う)

らーは、根っからやさしい犬で、わたしの体調が悪い日には、自分も病気のようになってつきあってくれた。
わたしは毎晩アルコールが欠かせないのだが、ちょくちょく二日酔いになるほど飲みすぎる。
らーの観察力と包容力はすばらしいものがあり、わたしが二日酔いになると、となりのベッドで自分も寝たままになり起きあがらない。
わたしが無理をして「らー、ごはん食べる?お庭にいく?」っと話かけても、頭をあげずに「要りません、ぼくも寝ます」という顔をして寝てしまう。 

Saturday, July 4, 2020

シッターさんを探す

倒れてから2週間近く食べないまま、寝返りも打てない、後脚の片方の麻痺、麻痺に伴って排尿も徐々に困難になってきた。
そんな時期の往診で、らーの心音は強く安定していて、到底近く旅立つような様子ではないと主治医の結論。
往診に偶然立ち会った人間全員で、喜んだのはつかの間、さて現実問題、これからどうする......

Friday, July 3, 2020

”寝たきり、らー再び海へ” 死んだら二度とできないから

介護が始まった最初のころ、らーの余命が想像もつかなくて、お医者さんは”今は死にません”ときっぱり断言したけれど、それでもたびたび排尿困難で、膀胱炎、腎機能低下、命の危機、そういうループを繰り返しているとき、本当はいつ死んでもおかしくないんだ、そう思った。

Thursday, July 2, 2020

お空へ旅立つ準備なの?(ようやく往診の日)

らーは、仔犬期ゼロ歳児で甲状腺機能低下症と診断された。
低下というより、甲状腺ホルモン自製率ゼロの状態。
治る病気ではないけれど、正しい量のホルモン剤を摂り続けることで問題なく生活ができた。
信頼できる獣医さんの助けがあったから、らーは長生きすることができた。それは間違いない。

Wednesday, July 1, 2020

自力で歩けなくなった最初の日(介護生活のはじまり)

2018年6月12日(火)
仕事から帰宅したら、らーが、立てなくなっていた。

らーのお気に入りの場所は、キッチンと続き間になったリビングで、大きな窓から庭に出ることができる。
その日も、いつものようにやさしいハワイアンの音楽が聞こえていたし、クーラーと扇風機で涼しくて、お部屋は普段通りだった。