Thursday, July 2, 2020

お空へ旅立つ準備なの?(ようやく往診の日)

らーは、仔犬期ゼロ歳児で甲状腺機能低下症と診断された。
低下というより、甲状腺ホルモン自製率ゼロの状態。
治る病気ではないけれど、正しい量のホルモン剤を摂り続けることで問題なく生活ができた。
信頼できる獣医さんの助けがあったから、らーは長生きすることができた。それは間違いない。

確か、らーが7歳の時、かかりつけの動物病院の診療時間、曜日が大幅に短縮された。 
土日祝祭日すべて休診、平日の朝は10時受付開始11時30分に受付終了、午後は2時から4時までの診療。
主治医自らの勧めで、土日祝祭日も診療を受け付ける地元の動物病院にかかりつけを変えようと試みたけど、超大型犬、受け付ける病院そのものが少ない。
その上、らーサイズの犬用の体重計がある病院も通える範囲になかった。
らーが手足を伸ばして横になれる入院室があるような病院も、沖縄県内どこにも見つからない。
なによりも、獣医師の信頼性、この獣医さん以外に、らーを託せる病院は見つからない。 そう確信していた。
それでも、この診療時間の短さは、介護生活の中で大きな懸念になったのは確かだった。
私の友人も同僚も近所の応援してくれる誰もが、それぞれに仕事があって、かかりつけの動物病院の診療時間に、らーを運ぶには、仕事を抜け出して来る必要があった。 
なんて厳しい状態、でも悲観している場合じゃない。
らーが倒れた日、主治医との面談で、往診をお願いしたものの、約束を取り付けることはできず、気やすめの痛み止めをもらって帰宅。
いつもの手作りのご飯(煮込んでフードプロセッサですりつぶしたお野菜入りの柔らかご飯、ソテーしたお肉のスライス、旬の果物一口)を用意したけど、食べたがらなかったので、ソテーしたお肉に、お薬を包んで食べさせた。
Yuちゃんの手から、甘えるようにようやく、3切ほど食べてくれた。
それから、ほぼ2週間、らーはご飯を一切食べてくれなかった。こうなると経口薬は、役に立たない。 
水分だけは、かろうじてボウルから飲んでくれるので助かった。
食いしん坊のらーが、食べない、身を軽くしてお空に旅立つ準備なのか......漠然と思った。
翌日から、思いつく限りの人に連絡して、らーの旅立ちに備えた。
毎日多くの犬友が、会いに来てくれた。
らーは、来てくれる人には挨拶をして、その人の匂いを思い出しているようだった。
「目に力があるのにね」と、どんな食べ物にも興味を示さず、水しか飲まないことを、誰もが不思議がった。
結局、主治医が往診にきてくれたのは倒れてから12日目と記憶している、私の最大の後悔はここにある。
(この後悔については、後で書くことにします)
その日、我が家には、私の姉や姪たち、らーの同胎犬(彼女は10歳を目前に旅立った)の飼い主さん家族、なんと7名もの人間が、らーを囲んで、懐かしい思い出話をしていた。
そんな、みんなが見守る中で始まった主治医の往診。
先生は、らーに話しかけながら、観察、触診、「まずいな」「困ったな」と神妙な表情でつぶやく。
全員が、先生の一挙手一投足に集中している中、先生からの説明。
後脚の片方が麻痺していること、その原因を調べなくてはならないこと。
詳しいことは、病院で検査しなきゃわからないと。
「先生、なんで食べないでしょう?」と率直な姉の質問に、「なんでだろう」と先生も困った表情になる。
一瞬全員が、ぽかーんとなった........なんでだろうね.......
「でも、らー君は、まだ死にませんよ、まだまだです」キッパリ。
ほんと?

December 2010
若い頃のらー