Friday, July 3, 2020

”寝たきり、らー再び海へ” 死んだら二度とできないから

介護が始まった最初のころ、らーの余命が想像もつかなくて、お医者さんは”今は死にません”ときっぱり断言したけれど、それでもたびたび排尿困難で、膀胱炎、腎機能低下、命の危機、そういうループを繰り返しているとき、本当はいつ死んでもおかしくないんだ、そう思った。

慣れない介護、来る日も来る日も新しい困難ばかり、一日一日が疲労困憊の連続、ちょうどそんな時期に、関東で転勤暮らしをしていた友人・アヤが、沖縄に戻ってきた。
アヤは犬の訓練士、らーが若いころは、他の犬たちとの共同生活を身に着けてもらうため頻繁に一泊のあずかりでお世話になった。
いつも訪問トリミングに来てくれるミキちゃんと、アヤから、らーを海に連れて行こうというイベントが提案された。

死んだらもう、二度と海で泳ぐことはできないから、死ぬ前にまた海で泳がせよう、そう言って私を元気づける二人から”らー再び海へ”というぶっ飛んだイベントが提案され実現した。

導尿カテーテルで排尿させているのに海水浴なのだから、これは本当にぶっ飛んだアイデアだった。
この日、朝からアヤとキミちゃんの子供たち大勢と、シッターさんと私の同僚が駆け付けて、大賑わいで近所の海までらーを運び、担架ごと海へ乗り出して、らー君を海に浮かべてみた。
台風の影響で少し波があり、満ち潮の時間に、次々にやってくる波を、ソーレー!と声をかけながら、らーを囲んで波乗りを楽しんだ。
ほんの少しの時間、たぶん10分未満、それでも、らーは満足した顔で、海水浴を楽しんでいた。

rakun to the ocean again 1

Make a wish foundation 病気と闘う人の夢をかなえる団体があるけれど、アヤとキミちゃんの提案は、老犬の夢を叶えた奇跡のイベントだった。

海から戻って、自宅の庭でトリマーのキミちゃん中心にみんなで、シャンプー&ドライをしたときも、らーは気持ちよさそうにご機嫌。
さわやかな風が吹き、緑いっぱいの小さな庭、子供も大人もスイカを食べた。
らーを囲んでにぎやかに過ごした時間、私にとってもダイヤモンドのようにきらきらした大切な思いでになった。

海水浴はこれっきりだったが、その後も、同僚サポーターの応援で何度も、車に乗せてらーを公園や海岸に連れて遊びにいった。
どれもこれも、忘れられない時間。

犬のMake a wish foundation, わたしもやりたいな。
書いていて今思いついた。