Sunday, July 12, 2020

未遂に終わった仔猫泥棒

らーがどうして仔猫に執着したのかわたしには不明なのだが、母性というものなのか、、、。


とにかく、らーは仔猫には非常に興味を示した。
動物病院の待合室、床にぺたりと伏せて、仔猫が入ったケージへジリジリと匍匐(ほふく)前進する。

やめるように注意をしても、聞く耳を持たない、仕方なく待合室を出てお外で待つことになる。それでもガラス越しに仔猫の飼い主に、「仔猫を見せていただけないでしょうか」と懇願しているような表情で訴え続けるので、診察待ちの人々に笑われてばかりだった。




ある早朝のお散歩中に、母猫らしき大猫がわたしとらーの前に仁王立ちになった。
まるで吠えているような形相で、怒っている。


いつもなら猫へ挨拶をするはずのらーがじっとしているので、注意深く見ると、うつむてヨダレを垂らしている。

嫌な予感がした。

努めて冷静に「出せ」と言うと、仕方なく首を下げてゆっくり下ろすように口から仔猫を出した。

よだれだらけの仔猫が、らーの口から転げ落ちて大猫のところへまっすぐに向かい大猫が咥えて藪の中へ消えた。


一体、らーは仔猫をどうするつもりだったのだろう。
わたしが気がつかないほど瞬時に咥えて、バレないように俯いて、一体どうする気だったのだろう。


仔猫泥棒らーは、母猫にあっけなく捕らえられて未遂に終わったけれど、成功していたら家に連れ帰って、どうするつもりだったのだろう。


この出来事の後、主治医に、らーが猫好きのようなので、猫を家族に迎えることを考えていると相談したら、主治医は大賛成で、家族候補がいっぱいいるからと言って、早速ご対面させてくれた。


ところが、看護師が仔猫を抱えて、診察室に入った途端に、らーが切ない声でキュンキュン言い出して、目の色を変えて仔猫に近づこうとする。


その必死な、らーの様子を見て、主治医が「こんな状態じゃ無理です」「猫に怪我をさせるかも知れないので、お勧めできません」と、家族候補はあっけなく消えてしまった。


それにしても、らーが仔猫を見てキュンキュン鳴くのは一体どう言う感情の現れだったのだろう。
2010年頃?
仔犬Churaちゃん、らー保育士から離れない