らーは、倒れてから死ぬまでに、何度か肉腫を吐いた。
ほとんど小さな肉腫で、血の塊のようなサイズだったけれど、2度ほど大きなサイズの肉腫を吐いたことがある。
大きいとは言っても、1度目は、50円のサイズ、吐いたものを清潔なラップに包んで、プチプチの梱包材に包んでそれを保冷剤で挟み、更にプラスチックバックに入れて冷蔵庫に保管し、翌日、病院から病理検査に出してもらった。
2度目は、びっくりするほどの大物だった。
お気にいりの晩御飯、納豆をずるずる飲み込んでいたら、人間が咽(むせ)てしまって咳こむようなそんなゴホゴホの後に、巨大な肉腫を口から出した。 エイリアンでも吐き出したかと思った。(証拠は写真に残したので見てください。閲覧注意、肉片なのでかなりグロい。)
実はこの肉腫が出てきたとき、わたしとらー君は大いに喜んだ。
二人で、それこそ、やった~~~~、バンザイバンザイそんな喜びようだった。
というのも、全長6センチメール、私のこぶしの半分くらいの大きさの肉の塊(ガン細胞)、らーくんの声帯、のどの奥に出来ていたため、油断すると呼吸さえ危うく、寝ている最中に何度も無呼吸になり、ぷは~~~っ!!!と、水泳の不器用な息継ぎのように、目を覚ますこともたびたび。
背中をエビぞりするほど痙攣のようになることもあった。
正直、夜も寝落ちしてはいけない、寝ている間に無呼吸で苦しい死に方をするかも、そう思うとわたしは熟睡することを避けた。
らーが声帯付近の異物に苦しめられていることは、一度目のメラノーマ肉腫を吐き出したときにわかっていた。 だからこの巨大肉腫が出てきたときは、さぞかし、すっきりしただろう、そう思われた。
実際に、吐き出したら、「ぼふ、ぼふ、わんわん」と声をだして、「母ちゃん、ぼく声がでる!」そう言っているように、何度もぼふぼふと歌った。(歌っているようだった)
そして、大好きなノンアルコールビール(竜馬1865)を一気に、飲み干して、満足した顔をした。
こんだけ大きな肉腫がもげたのだから、出血は心配だった。
けれど、らーは運が強かった。
翌日、黒い血が便に混ざって出てきて、それで下血は終わり、心配は要らなかった。
もう、ナンデモコイ!! そう吹っ切れて、勇気が湧いてきた、そしたら、らーもノリノリになった。
この肉腫で悪性黒色種メラノーマと診断された |
声帯付近からモゲ落ちた巨大肉腫 |