Sunday, July 19, 2020

家庭での医療行為(点滴スランプ)

失敗談も残しておきたい。
何度もやった、一番つらかった失敗は、点滴。
らーの背中は大きくて点滴スポットもたくさんあるのに、成功体験をたどりたいのが素人というものなのでしょう。わたしだけか。

似たような、いや、ほとんど同じ、もしかしたら奇跡的に、全く同じスポットに針を刺したかもしれない。
針を抜いたあとの、流血が回を重ねるごとに、増えてきた。
そして、1リットルの輸液が入って、ラクダのこぶのように膨らんだ背中から、せっかく流し込んだ輸液がボトボト、あふれる日も多くなった。


毎日、同じように刺しているのに、輸液が入り始めた瞬間に「痛い」って、らーの背中が拒否することもあった。後でわかったのだが、輸液が部屋のクーラーの冷気で冷えて、体温との差が大きくて痛かったのだ。

輸液を温めるということは、常識だったらしい。

でも、夏の室温で、輸液はそれほど冷えていないと想定されるため、獣医師も輸液を温めて体温程度にすることで、痛みが防げることを説明する必要が無いと思ったのか、実際わたしはあたためることを説明してはくれなかった。でも、後でネットで調べたら、そこら中に、「輸液を体温程度にあたためる」という手順が書いてあり、わたしの勉強不足が原因で、らーに痛い思いをさせたと深く反省。

(ちなみに、点滴の針を、自分の指にさしたこともある。当然すごく痛い。でもいい、これは私の問題で、らーに影響はない。)

何度も点滴を打ち続けてきたけれど、あるい時期、”点滴スランプ”に陥った。
点滴の準備をすると、心臓がどきどきして、手が震えるような気がする。
怖いと思いながら、点滴をするとやはり失敗、すぐに痛がられて1リットルの輸液のほんの少し流したところで、中止。

痛い思いをさせておいて、水分を補給するのに失敗する、そのうえ、1リットルの輸液バッグが無駄になる。2度同じ失敗をして、もう無理だ、そう挫折した。

でも、このタイミングで、らーが点滴スランプに陥ったわたしをカバーするように、いつもより頑張って水分を取ってくれたので大事には至らなかった。

”点滴スランプ”というのは、人間のナースにも起こることのようで、わたしはそんなスランプを乗り越えて、医療に従事するナースを以前よりずっと尊敬するようになった。

これは失敗の話ではないけれど、らーには、薬をだまして飲ませることは子供のころに見破られて失敗して以来おそらくほとんどなかった。

お薬が苦い場合はとくに、丁寧に説明して「肉団子に薬を入れるよ、ぱっくんしてね」「チーズに包むよ、ぱっくんしてね」そいう言って、目の前でお薬を団子に差し込んで食べさせる、それで成功した。

らーは、話せばわかる犬だった。 

でも、晩年寝たきりになってから、お薬の量がとんでもなく増えた。
しかも錠剤の粒が大きい、おやつにも、ごはんにも、台無しになるほどすべてにお薬を入れる羽目になり、本当に気の毒だった。 
注射で済むなら、そう考えて注射にできるものはすべて注射にしたのだった。 

今日(これを書いている日)現在で、らーが旅立ってから492日、記憶がところどころあいまいになっている。ちゃんと書き残さなくては。
2019年8月に撮った写真
ようやく、残された注射器を処分。
それまで見るだけで辛くて手をつけずにいた。