Sunday, November 15, 2020

らーは苦労が多い犬だった-4(缶詰を食べる事故~その3)

 

K医師に執刀してもらえたことは、幸いだった。
大型犬の執刀経験が豊富であることが明らかだと思う充分な説明を受けた。

「縫合は表に見えるのが5層目です」(確か5層だったと思う)
胃の中の写真をPadで見せてくれる、思ったより小さな缶詰の破片に見えたけど、1つだけ先端が鋭く尖ったものがあり、やはり取り出して正解だったと、自分が下した判断を正当化できる、そんな感じで納得した。

「腸は全部さわって異物がないかちゃんと確認しましたが、ありませんでした」
「缶詰の破片は全部取り出せました」

それから、らーは回復するまでの期間、その病院にいることになるだろう。
沖縄県内最先端といわれる設備の入院室やナースの動きをわたしは、何気ない顔で実は鋭く観察を続けていた。
 
そもそもナースをはじめ、K医師以外、この病院の人をわたしは全く信頼していなかったのだ。

閉院したので、ここに書くことも、もう問題ないだろう、正直に全部書く。

この病院には、1入院動物ごとにバイタルサインや点滴などの異常を知らせるモニターが設置されていて、点滴が詰まるなどの異常があるとアラームが鳴る。

ナースによっては、すぐに駆け付けて問題を確認するが、別のナースは、アラームを放置しておいて自分の都合でやってきたときにアラームを止めて問題を確認する人がいる、適切なナースと間違っているナースは半々くらいの割合だ。

入院動物の家族は、それぞれ食べなれたフードを家から持ち込んでいるので、ナースがそのフードをハンドルするのだが、フード袋の余分な空気も抜かず、きれいに閉じもしないナースもいる。

厳しい目で観察していることに気づかれないように、わたしは毎日空気のように存在を殺して、らーのお部屋のドアと廊下の間の床にぺたんと座って、らーをなでていた。
 
この病院は、残念ながら、一番大きなスペースであっても、らーが全身を伸ばすことができない。
 
微妙に長さが足りないのだった。そのため、わたしがいる間は、全身を伸ばしてあげたかったのでドアを開けて、らーに膝枕をして全身伸びた状態で過ごさせるようにしていた。
 
許される限りの長い時間を、ここの床にぺたりと座って過ごした。

らーの導尿カテーテルが外されて、お外へオシッコに連れて行ってもらえる段階に回復したときに、事件が起きた。
 
どうやら、ナースが私のリクエストを理解できていないようで、オシッコに連れ出すと、一度オシッコを出したと思えば即、連れ帰ってきてしまう。
 
らーは、何度かに分けて、ゆっくり何度もオシッコを出すので、根気強くしばらく外にいて、付き合ってあげてください。
 
そうお願いしたのだけど、感染を恐れてなのか、外の暑い気温を恐れてなのか、わたしのリクエスト通りにしてくれるナースが、恐らくくいなかったのだと思う。

オシッコを出さないのにもかかわらず、どんどん輸液が補給され続けて、らーの腕が明らかに腫れだした。

異常を察知したわたしは、獣医師にすぐに確認するように依頼、院長とやらがやってきて「腎機能に異常がでています」という。そして、この時点から輸液の補給をやめるという。

お家に連れて帰ろう、わたしが看病するほうが安全だ、そう思って「お家に連れて帰る」というと「どうなっても知りませんよ」と脅す。

「わたしの犬ですからどうなってもわたしの責任です」と言うわたし。
 
院長は呆れた表情で「計算するのでお金を払ってから、連れ帰ってください」という。
今思い出しても、許せないし”シンデクダサイ”って言ってやりたい。 

そこから精算が始まって夜の9時過ぎに、57万円くらいの金額を払うように言われ、そのとき、クレジットカードの限度額を50万円に設定していたわたしのカードでは支払えないと判明。
 
「免許証を置いていくので一部は明日にお願いします」とお願いしたら、受付の女性が「では明日迎えにきてください」という。
 
怒り心頭だが、この病院にはまだ通う可能性がある、喧嘩するのは賢明ではないと判断して、怒りを隠して、すぐに来てくれそうな知人に来てもらった。
 
「一括で支払えるクレカをもってきて」と、すぐに来たので、無事にらーを家に連れて帰ることができた。

あの人たちのおかげで、腕が腫れて、その検査の費用も請求され、更に脅されて、ようやく家に連れて帰ってこれた。
 
気の弱い飼い主だと、言いなりになって動物がどうなっていたんだろう?と思うとぞっとする。
 
お家なら好きな姿勢で寝られる

回復だって早いに決まってる